「好きって言った……?」
「言った。朝陽が好きだ。多分、ずっと前から惹かれていた。だから……お前が晃さんと会って、あの人の香水の匂いをつけていたことが許せなかった」

真月はホワイトデーの日のことを言っているんだ。
あの日の真月はどこかおかしかった。

「今更虫のいい話かもしれないけど。許されるなら、お前だけを愛していきたい。この際、お腹の子が俺の子どもかどうかなんて関係ない。朝陽と結婚して、生まれる子どもとお前を守っていきたい」

それは口下手な真月がはっきり告げてくれたプロポーズだった。
真月に恋したときから、私には一生無縁だと思っていたプロポーズ。

ここで素直に頷けたら、どんなに幸せだろうか?

「……宮端さんはどうするの?」

まさかもう、別れた?
それとも、このまま二股を続けていくの?私は黙って見ているだけ?

「今まで真月に他の女の人がいても何にも言わなかったのは、私が真月の恋人でもなんでもなかったからだよ?結婚して夫婦になるなら、私、愛人なんて許せないし、そんなの宮端さんに失礼だよ?」

いつのまにか俯いていた顔を上げると、真月が困惑した表情をしていた。

「ちょっと待てよ。どうしてここで宮端さんの名前が出るんだ?」
「え?だって付き合っているんだよね?」
「誰と誰が?」
「え。もちろん、真月と宮端さん、が……」