「お待たせいたしました〜!こころランチでございます」
ランチプレートを乗っけたお盆を持っていくと、それまではなちゃんと遊んでいた新崎(にいざき)様が嬉しそうに目を細めた。
「あらあら。朝陽ちゃん、ありがとう。お腹も大きくなったわね〜。今何ヶ月だっけ?」
「8ヶ月目です」
新崎様は真紀子さんの小学校、中学校時代の友人らしい。猫好きらしく、頻繁にはなちゃんに会いにきてくれる常連様だ。
妊婦である私のことも、とても気にしてくれる。
「男の子か女の子か聞いてるの?」
「いえ、それは生まれてからの楽しみにしています」
お医者さんはもう分かっているらしいけれど、黙ってもらっている。
「元気な子を産んでちょうだいね。楽しみにしているから」
「ありがとうございます」
元気な赤ちゃんが生まれてくればそれでいい。
男の子でも女の子でも、そんなのどっちでもいい。