よく見るとネクタイが少し違ったが、
オレのことが一体どこまで
知れ渡っているのか分からないから
隅に隠れたまま通り過ぎるのを待った。

通り過ぎた後に
安堵しながら改札を抜けた。

一駅分電車に乗り狭い改札にたどり着いた。
向こうはフィルターがかかったみたいに
輝いて見えた。
上の空になっていたみたいで
券を入れるのを忘れそうになりハッとした。
慌てながら券を出し、
後ろの人に会釈をしつつ、
狭いながらも威圧感のある機械に
券を入れた。

「ふーーー。」

と一息。
足の歩みは、
心なしか弾んでいるようだった。
たどり着いたのは、
白い塗装のされたマンション。