溺愛求婚〜エリート外科医の庇護欲を煽ってしまいました〜


「篠宮先生のことを、知る?」

「ああ。まぁ、いい場所とは言えないが」

そう言った瞬間、どことなく表情が曇ったような気がしてより一層疑問が湧いてくる。

まさか、いかがわしい場所に連れて行く気じゃ?

思考を巡らせてはいるが、本気でそう思っているわけではない。突拍子もないことを言い出すのはたしかだけれど、私が嫌がることはしない。そう思えるくらいには、彼のことを理解したつもりだ。なんて、少し買い被りかもしれないけれど。

あれこれ考えているうちに、どうやら目的地へ到着したらしい。

薄暗くて細い路地の一角にあるやけに古ぼけたピンク色のネオンが輝く場所。地下に下りれるようになっていて、ひっそりしていることからなんとなくの雰囲気でバーだとわかる。

「ここ、ですか?」

「ああ。気まぐれな店だから開いているかはわからなかったが、やってるようだ」

まるで開いていたのが残念とでもいうような口ぶり。周りを見渡してみても、やっているかわからないような薄汚れたネオンが輝いているだけ。

キョロキョロしていると優しく腕を引かれ、階段を歩かされる。両開きのドアが見えて、いびつな音を立ててそれは開いた。

「あーら、いらっしゃい。珍しいわね」