はちきれそうなほどのお腹を抱えてお店を出る。今日も篠宮先生にごちそうになってしまった。せめて自分が食べた分くらいは払わせてほしいとお願いしたが、あっさりと却下されてしまった。
「ごちそうさまでした」
「気に入った?」
「はい、とっても美味しかったです」
「それはよかった。また一緒にこよう」
またがあることに胸が弾む。そんな私は、どうかしてるよ、絶対に。
おしゃれな店が多いオフィス街を並んで歩く。ひときわ目を引く篠宮先生は他の誰とも違う神々しいオーラを放っている。
思わず見惚れていると、視線に気づいたのか横顔が優しくゆるむ。
「す、すみません」
「柚に見つめられるのなら、大歓迎だ」
さらっとそんなことを言って手を握ってくるものだから、パニックを起こしそうになった。
心臓がトクンと跳ねて、居心地のいい温もりに包まれる。アルコールのせいも多少はあるかもしれないけれど、触れられても嫌じゃないと感じる私は絶対にどうかしている。
手にばかり意識がいくせいでどこをどう歩いているかもわからず、気づけば明るい繁華街まできていた。
「どこへ向かっているんですか?」
「柚に俺のことを知ってもらおうと思ってね」



