早くと急かされ、恥ずかしいながらもフォークにパクッと食らいつく。篠宮先生が満足そうに微笑んだのを見て、さらに恥ずかしくなった。
鼻をつくトマトのジューシーな味と、水牛のコラボはこれまた紛れもないほどに絶品。
「お、おいひい、です」
「くくっ」
モゴモゴと口を動かし咀嚼しているとおかしそうに笑う声がする。ゴクンとパスタを飲み下し、じとっと見やると篠宮先生はさらに楽しそうに目を輝かせた。
「食べてる姿を見て笑うなんてひどいです」
そんなにおかしいですか、私が食べてる姿は。
「柚の食べてる姿がかわいくて、つい」
「なっ」
家族以外の男性にかわいいなんて言われたのは、もしかしたら初めてかもしれない。篠宮先生といると、どうにもペースを乱されてしまう。
でも、嫌じゃない。そう、嫌じゃないのだ。
そこにひっそりと生まれた小さな感情は、私のガチガチに氷った心を溶かしていくような気さえする。
料理を楽しんでお腹が満たされると、さっきのやり取りなどなかったかのように和やかなムードで、言われるがままにドルチェの盛り合わせまで頂いてしまった。
ティラミスにかぼちゃを使ったプディング、栗のソルベは濃厚な味わいで思わずおかわりをオーダーしたくなったほどだ。



