溺愛求婚〜エリート外科医の庇護欲を煽ってしまいました〜


これ以上目を合わせていると、篠宮先生に落ちそうになってしまう。いや、もうすでに足元がぐらぐらと揺れてはいるが、まだそこに落ちたくないなにかが私の中に存在する。

「あの男に未練があるのか?」

「ありません」

そう、それははっきりしている。

「だったらいいだろ? 試しに俺と結婚しよう」

「いや、そこは『付き合おう』じゃないんですか?」

気持ちが追いついていないのに、全部すっ飛ばして『試しに結婚しよう』はさすがにない。試してみた結果、私ではなく篠宮先生が私を嫌になるという可能性もなきにしもあらずだ。その場合、簡単には離れられない。

「まどろっこしいのは嫌いでね。早く白黒つけたいんだよ」

「結婚は勝負ではありませんよ?」

「ああ、そうだな。幸せな結婚がしたいんだろ? 俺ならその夢を叶えてやれる」

「自信がおありのようですね」

「もちろんだ」

「篠宮先生が私を嫌になることだってあると思います」

「断言するが、それはない」

そこだけやけに強い口調で返された。どうしてこんなに自信に満ちているのか、さっぱり謎だ。揺るぎない自信、強さ、信念。そういったものが、一本篠宮先生に根づいているのがうかがえる。