私と優じゃ到底釣り合わないし、篠宮先生も驚きだろう。
「いや、そうじゃない」
「え?」
「柚を傷つけたことがありえないと言っているんだ」
あまりにも予想外な言葉に拍子抜けしてしまう。いや、普通なら皆そう思うだろう。現に私の友達は皆、優のことをありえないと言って怒っていた。
けれど、どちらかというと優と同じようにハイスペックなエリートの篠宮先生は優寄りの考えだろうと勝手に決めつけてしまっていた。
「で、元彼が今さら柚になんの用だ?」
「それは……」
鋭いところを突かれて口ごもる。
「わかりません」
だけど優は私を恨んでいる。変な言いがかりをつけられて驚いたけれど、いったいなにを企んでいるのだろう。
いや、もう気にすることではないのかもしれない。
「もう終わったことですから」
「そうか。でもなにかあったら遠慮なく俺に相談しろ」
「ありがとうございます」
「それにあいつより一途で誠実だぞ、俺は」
「どうしてそんなに自信たっぷりなんですか」
身を乗り出して私の顔を覗き込んでくる篠宮先生を見て、クスッと笑みがこぼれる。他の人が言うと嘘っぽく聞こえる言葉も、そこまで自信満々に言われては逆におかしくて笑いが止まらない。
「どうしてと言われても、本気でそう言っているんだから説明のしようがないな」
「ふふ」
「笑われる理由がまったくわからない」
「わからなくていいです」
「柚」
ハッとするほどの熱がこめられた視線に全身がカッと熱くなる。



