溺愛求婚〜エリート外科医の庇護欲を煽ってしまいました〜


「会社を大きくするためだけに、娘の笑顔を奪おうとしていた俺は最低な父親だったことに今頃気づいた」

「偉そうなことは言えませんが、誰にだってまちがいはあると思います。重要なのは、これからどう変わっていくかですよ」

「ふんっ、そんなことは言われなくてもわかってる」

フッと鼻で笑われたけれど、そこには悪意は感じられない。病気で入院してから、会長は人が変わったかのように憑き物が落ちたような清々しい表情をしている。

きっと、思うところがあったのだろう。これから天音さんとも仲良くやっていってほしいところだ。

「では、失礼しますね。なにかあったら、ナースコールを押してください」

「……すまなかったな」

まさか、あの会長が謝るなんて。天変地異とはまさにこのことだ。

「宮本は帝都大から担当を外すように手を回しておいた。俺もそうだが、あいつは男として最低なヤツだ。あんなヤツに天音をやらなくてよかったと心から思ってる」

「気にしてませんから」

完全にはまだ許せたわけではないけれど、会長からその言葉を聞けただけで十分だ。

そして私は、再度頭を下げて部屋を出た。