一階には両親がいるんだと、すぐに飛びそうになる理性を奮起させる。
「いいだろう? 婚約までした仲なんだ」
「さっき、今夜は我慢するって」
「柚が煽るからだろ?」
私が悪いと言わんばかりのスネた目でじとっと見られた。
「つ、続きは帰ってから。ね?」
「それも俺を煽っているんだろ?」
「ち、ちがいますよっ」
「柚がかわいすぎるのがいけないんだ」
甘く痺れるようなセリフに胸が締めつけられる。
修さんは最後に一度私にキスをすると、渋々私の上から退いてくれた。
身体を起こして乱れた服と髪を整える。すると修さんがそんな私の左手を取った。
そして薬指に先ほどのエンゲージリングを嵌めてくれる。その仕草はスマートでかつ色気があり、そんな姿にさえ胸がときめいてしまう。
「ピッタリだな」
左手の薬指に嵌められたエンゲージリングを見て修さんは満足そうに微笑んだ。
素敵……。
似合うかどうかは別として、ひと目見たときから私の好きなデザインだと思った。
「よく似合ってるよ」
「こ、こんな高価な物、もらえません」
恐れ多くてリングを外そうとすると、それを遮るように手をギュッと握られた。



