溺愛求婚〜エリート外科医の庇護欲を煽ってしまいました〜


「出会った頃から柚は変わらないな。まっすぐで、頑固で、誠実で。納得いかないことにはとことん向き合う。相手が誰であろうとな」

「な、なにを言っているんですか」

私のことなんてなにも知らないくせに。そんなふうに言われたら、前から私のことを見てくれていたのかなって勘違いしそうになる。

「そういうところが好きだと言っているんだ」

「なっ」

なにを言ってるの、この人は。

仰天しながら見上げたその顔には、意地悪な笑みが浮かんでいる。ありえないくらいに心臓が飛び跳ねて、顔に熱を帯び始める。

篠宮先生を前にするとダメだ、落ち着かない。

それは多分、自分の中の気持ちにはっきり気づいたせいも少なからずある。

「ど、どうして、篠宮先生はここに?」

「今それを言ってもいいのか?」

「え?」

篠宮先生はチラリと天音さんの存在を気にかける素振りをしてみせた。どうやら、そういうところの空気は読めるらしい。

天音さんの頬もほんのり赤く染まっている。

「あ、あの、私はただ謝りたかっただけですので。父と宮本さんのことは私が責任を持ってなんとかします。だから、柚さんは安心して戻ってきてください」

そう言うと天音さんは立ち上がった。そして「失礼します」と丁寧に頭を下げて部屋を出て行く。