「そう、なんだ」
「好きでもない人と結婚するなんて私には耐えられなくて……どうしてもこの婚約を破談にしたかった。だから、私、架空の人物を作り上げて父にウソをついたんです……宮本さんの本性を知ったら、父が考え直してくれるかもしれないと思って」
「だからって、他にいくらでもやり方はあったはずです。そんなウソをつかなくても、好きな人がいるって言えばよかったんじゃないですか?」
あまりにも身勝手な彼女のセリフに怒りが抑えきれなくなった。私を疑ったのは優だったとしても、そのきっかけを作ったのは天音さんだ。
「柚さんもご存知の通り、父は昔からああいう性格です。私の個人的感情なんて、これまでにもこれからも考慮してくれることはありません……今回の件で、さらにそれを思い知りました。父は色んな女性と遊んでる宮本さんを責めることもなく、矛先を私が作り上げた架空の人物に変えたのです」
なにから突っ込んでいいのやら、よくわからなくなってしまった。



