「えー、なんだよ? 気になるだろう?」

「教えないわよ」

楽しそうに盛り上がるふたり。幸せそうな爽子の笑顔を見て、すごくホッとした。このふたりには幸せになってほしい。

「真也、私の大切な親友を泣かせたりしたら許さないからね」

「柚……」

「そんなことしねーよ。俺、爽ちゃんのことが大好きだから」

「真也くん……」

うっとりした顔でポーッとする爽子。ふたりはしばらく見つめ合うと、照れくさそうに笑い出した。

「はいはい、お熱いことで。さ、あとはふたりで楽しんでよね。真也、爽子にこの辺のいいところ案内してあげなさいよ」

「ああ、そのつもりだよ」

「柚、ありがとう。またゆっくり話そうね。今度うちにも泊まりにきてよ。また連絡する」

「うん、わかった」

「それと、必ず近いうちに仕事に復帰できると思うよ? 今、すごく話題になってるから。私は応援してるからね」

「?」

「ふふっ、じゃあまたね」

爽子は意味深な笑みを残して真也の腕を取ると、軽やかな足取りでこの場から立ち去った。