「爽子、おめでとう!」

私は思わず爽子に抱きついた。

するとクスクス笑われて、爽子も抱きしめ返してくれる。

「今大変なことになってるけど、大丈夫なの?」

爽子は私の耳元で心配そうに囁いた。実家に帰ったその日、噂を聞きつけた爽子は心配して私に電話をくれたけど、その時は頭が混乱してうまく状況を説明できず、そのままになっていた。

けれど爽子は私の味方だと言ってくれて、松浦さん同様私を信用してると言ってくれた。

「大丈夫だよ、ありがとう。でも、新たな就職先を探さないとだね。これだけ騒ぎになっちゃったら、戻っても居づらいだけだし」

「なに言ってるの、柚が逃げる必要ないでしょ。悪いのは向こうなのに」

「まぁ、そうなんだけど」

「MIYAMOの御曹司って教授や上の先生にはゴマすってヘラヘラしてるのに、下っ端の先生にはすごく偉そうなの。だから救外の先生には評判が悪いわ。他の科でもかなりクレームが出てるみたいよ。女癖が悪くて弱いものには偉そうって、本当に最低の人種よね」

プンプンと爽子は頬を膨らませる。

「なにふたりでコソコソ話してるんだよ?」

「真也くんには秘密〜!」