松浦さんは情報通で院内のことなら大抵は知っている。いったいどこから仕入れてくるの?と思うこともあるけれど、顔が広くてたくさん知り合いがおり、外科の医局のクラークとも繋がりがあるようだ。

ドクターの情報元はおおかたそこらしい。

「篠宮先生はどんなに若くてかわいい子に声をかけられてもなびかないっていう話よ。本命がいるのか、はたまたゲイなのかっていう話で持ちきりみたいね」

「ゲイ……それは、ないんじゃないですか?」

「まぁね。あれだけの美貌とステータスの持ち主だもん、どうにかして妻の座に収まりたいって考える女性は多いわ。みんな必死なのよ」

その篠宮先生にプロポーズされているなんて言うと、ものすごい反感を買いそうだな。ましてや、昨日は告白までされたのだ。

思い出して顔がカァッと赤くなる。返事をせずに逃げてしまったけれど、これから一週間会えないのか。

そう思ったら急に寂しくなってきた。

だけど今はそれよりも優のことが頭にある。

ふつふつとこみ上げる怒りを抑えて、業務を再開する。日勤からの申し送りが終わると、朝まではあっという間に過ぎていった。