ソファーの上に転がっていたカバンからスマホを出して時間を確認すると、朝の五時半だった。
外は薄暗いけれど、この時間だと始発も動いているだろう。
このあと出勤しなきゃいけないから、一度家に帰らなきゃ。
このまま黙って帰るわけにはいかず、私は再び寝室に足を運んだ。
そこには無防備な表情で寝息を立てながら、熟睡している篠宮先生がいる。
このたくましい身体に抱きしめられたのかと思うと、昨日の熱が一気に蘇って顔がボッと熱くなった。
キスやそれ以上の恥ずかしいことを篠宮先生としちゃうなんて、ありえない。
だけど、でも、嫌じゃなかった。それどころかドキドキしすぎて、身体の奥から溶けてしまいそうだった。
あのまま意識が飛ばなかったら、きっと、流されてしまっていただろう。
な、なにを考えてるの、私ったら。
両手で頬を覆って恥ずかしさを隠そうとしてハッとした。
「ひゃあ!」
篠宮先生がしっかり目を開けてこっちを見ていた。向けられる視線が艶っぽくて、その唇がゆっくり弧を描く。
「お、起きてたんですか?」
「たった今な」
ベッドから起き上がり髪の毛をかく篠宮先生は、それだけで絵になり凄まじい色気を放っている。