「んっ……」

手に触れるシーツの感触が、なんとなく自分の部屋のものとはちがう感覚がする。

意識が徐々に覚醒し始め、まどろんでいた頭がしっかりしてきた。

すぐそばに聞こえる規則正しい寝息に疑問を感じて薄目を開けると、飛び込んできたのは裸の男性の身体。

「きゃっ……」

声が出そうになって慌てて両手で口を押さえる。

そ、そういえば、昨日……。

走馬灯のように昨日の夜の出来事が頭の中に蘇った。

昨日、私は篠宮先生と……思い出すと恥ずかしくて目も当てられない。流されたとはいえ、なんてことをしてしまったんだろう。

いつの間にかベッドで寝ていることに気づく。以前の客室ではなく、どうやらここは篠宮先生のプライベートルームのようだ。

私、途中でアルコールが回って睡魔に勝てなくなって寝ちゃったんだ……。

そんなことの最中に寝るなんてありえないよね。ううん、でも昨日はこれでよかった。これでよかったのよ。

身をよじってそっとベッドから抜け出す。

胸の下着の締めつけは感じないけれど、ちゃんと服を着ていることにホッとした。

そっとベッドから這いずり出て、音を立てないように歩いてリビングへ。