「ふふ、当然よ。あたしが作るカクテルはそこらの物とは違うんだからぁ。本物しか使わないのが、あたしのポリシーなの」
うきうきとした表情で語る拓さんは、自身が作るカクテルに絶大なる自信があるようだ。
「はい、修ちゃんにはいつものマティーニ」
ドリンクが揃い、グラスを交わして口に含んだ。生のオレンジをベースにしたカクテルは、本物の素材を使用しているだけあってすごく美味しい。
気に入ってちびちび口に運んでいると、隣でフッと笑う気配がした。
「ところで、どうして私をここに?」
「ああ、兄貴を紹介したくてね」
「え?」
「ふふ」
キッチンで拓さんがかわいく笑う。
お兄さん?
「篠宮先生のお兄さんが今から来られるんですか?」
そんなことをいきなり言われても困る。仕事帰りのクタクタの格好で、メイクもよれよれ。こんな顔で会えるわけがない。
「いるわよ、ここに」
「え、あ、まさか」
先生のお兄さんって、もしかして。
「拓は俺の兄貴なんだ」
「ええ……!」
驚きすぎて、開いた口が塞がらない。ポカンとしすぎていると、再び拓さんに笑われてしまった。



