「……嶋川とユウナさんは仲が良いんですか?」

「私としては仲良しのつもりです。
出来ればもっと仲良くしてほしいくらいなんですよー」

「そう言ってもらえて嬉しいです」

南尾の質問にユウナが答えて沙弓が小さく微笑む。
三人で進む会話を聞いているのかいないのか、ハルトは徐にスマホを手に取ると指を滑らせて操作すると程なくして沙弓のスマホが震え、沙弓がスマホを気にした様子にハルトは笑顔を浮かべた。

「会社からの大切な連絡かもしれないですから、気にせずどうぞ」

「……ありがとうございます」

やはりハルトと朝陽は似たような所があるのか、やり方も言い方も同じだと沙弓は少し訝しげな視線をハルトに向けてからスマホを取り出した。

“この前の事、考えてくれた?”

送られていたのはたったそれだけ。
けれど文章を読み終わった沙弓は目を見開き、手の甲にキスされた事を強制的に思い出させられ微かに頬を染めて狼狽えてしまった。

「沙弓さん、どうしたんですか?何かありましたか?」

「な、なんでもありませんっ!」

沙弓の様子に気付いたユウナが少し心配そうに声をかけるが、沙弓は吃りながら誤魔化すと返信することなく慌ててスマホを鞄に入れた。

自分の送ったメッセージで戸惑い、頬を染める沙弓の様子に満足したのかハルトは口角を上げて小さく微笑んでいた。

そんな沙弓とハルトの様子を交互に見て、南尾が小さく首を振って、まさかね……。と呟いたのには誰も気付くことはなかった。