「私、今までたくさんの人と握手してきましたけどこんな握手の仕方は初めてです」
そう言いながら向かい合って乗せた両手をぎゅっと握られると何度も上下に振られた。
「あ……すみません!両手を出されていたのでつい……」
「いいえ、こんな握手も楽しいからいいですよー」
やがて満足したのかそっと手を離されて、沙弓の手も元の膝の上に戻った。
和やかな雰囲気はそこで終わり全員でドリンクをどう売り出していくのか、宣伝の仕方は、など真剣に話していたのだけれど、宣伝や売り出し方などに関わったことのないただの事務員でしかない沙弓はそこにいて静かに話を聞いていただけだった。
話は全て纏まってはいなかったけれどShineの次の仕事の時間が迫っているとの事で今回はお開きとなり、部長二人が正面玄関までお見送りすることとなった。
沙弓は部屋を出た所で見送ってから室内の片付けをするために再び室内に戻る。
黙々とカップを片付けていたら誰かがドアを開けた気配がしたので振り返るとそこにはハルトが立っていた。
「どうしました?忘れ物ですか?」
「そう、大事な忘れ物」
何か忘れてそうなものがあったかなとハルトが先程まで座っていた場所を見ても何もなかった。
首を傾げて顔を上げるといつの間にか近くに来ていたハルトが二つ折りの小さな紙切れを渡してきた。
「受け取って」
「え?」
「受け取って、登録して、今日中に連絡ちょうだい。
大丈夫だと思うけど、誰にも教えないでよ?」
少し早口でそう言うとハルトはウインクしてそのまま去っていった。
すごい、アイドルのようだ……。
そう思った瞬間に、違う、本物のアイドルだった。と自分で突っ込むあたり、沙弓は渡された小さな紙切れに対して少し混乱していたのかもしれなかった。
そう言いながら向かい合って乗せた両手をぎゅっと握られると何度も上下に振られた。
「あ……すみません!両手を出されていたのでつい……」
「いいえ、こんな握手も楽しいからいいですよー」
やがて満足したのかそっと手を離されて、沙弓の手も元の膝の上に戻った。
和やかな雰囲気はそこで終わり全員でドリンクをどう売り出していくのか、宣伝の仕方は、など真剣に話していたのだけれど、宣伝や売り出し方などに関わったことのないただの事務員でしかない沙弓はそこにいて静かに話を聞いていただけだった。
話は全て纏まってはいなかったけれどShineの次の仕事の時間が迫っているとの事で今回はお開きとなり、部長二人が正面玄関までお見送りすることとなった。
沙弓は部屋を出た所で見送ってから室内の片付けをするために再び室内に戻る。
黙々とカップを片付けていたら誰かがドアを開けた気配がしたので振り返るとそこにはハルトが立っていた。
「どうしました?忘れ物ですか?」
「そう、大事な忘れ物」
何か忘れてそうなものがあったかなとハルトが先程まで座っていた場所を見ても何もなかった。
首を傾げて顔を上げるといつの間にか近くに来ていたハルトが二つ折りの小さな紙切れを渡してきた。
「受け取って」
「え?」
「受け取って、登録して、今日中に連絡ちょうだい。
大丈夫だと思うけど、誰にも教えないでよ?」
少し早口でそう言うとハルトはウインクしてそのまま去っていった。
すごい、アイドルのようだ……。
そう思った瞬間に、違う、本物のアイドルだった。と自分で突っ込むあたり、沙弓は渡された小さな紙切れに対して少し混乱していたのかもしれなかった。



