二人を繋ぐ愛の歌

週明け、会社に出勤したその時はいつも通りとても静かだった。
けれどそれも始業時間から暫くして鳴り響いた一本の電話を遥が取った事で一変し、ちょっとした騒動が巻き起こった。

「はい、はい、そうです……え?今なんて……え、ええぇぇぇっ!?」

突然大声をあげたと同時に立ち上がった遥に隣に座る沙弓はもちろんのこと、室内にいる全員が驚いて遥に視線を寄越した。

何が起こったのかと注目される中、半ば呆然とした様子の遥が電話の相手に、しょ、少々お待ちください……。と言って保留ボタンを押してそのまま動かなくなった。

「遥?遥、どうしたの?」

保留にしたままの電話が気になりながら固まったままの遥に声をかけると、我に返ったらしい遥は慌ててどこかに内線をかけだした。

「嶋川さん、何かあったの?」

「さあ……?」

偶然来ていたらしい南尾が近寄ってきて首を傾げながら興奮している遥を見ていると、内線先らしい宣伝部との会話が漏れ聞こえてきた。

「だから、今外線に電話がかかってるんですっ!悪戯?わかりませんけど、とりあえず出てくださいよっ!
もし本物だったらすごいことなんですからっ!」

普段の様子と違うすごい剣幕の遥に南尾と顔を見合わせる。
一体外からどんな電話がかかってきたのだろうと思っていたら、内線を終えたらしい遥が受話器を置いて息もつかずに俯いていた。