「ほーんと、あの時はかなりビックリしたわよ」

「だ、だからごめんって……」

目の前で頬杖をついてジトッとした目を向け、クリスマスライブの出来事を話す遥に沙弓はただただ平謝りするしかなかった。
そんな沙弓から目を離した遥は部屋の至る所に積まれた段ボールと最低限の家具しかないガランとした沙弓の部屋を見回した。

「スッキリしちゃったわね……。
もうすぐだっけ、引っ越し」

「うん、明後日」

言われて沙弓も部屋を見回す。

社会人になると同時に一人暮らししてから何年も住んでいただけあってこの部屋の思い入れは大きいけれど、今後セキュリティのないこのマンションに住み続けることは難しくなったので仕方のないことだった。

「いいなぁ、あのハルト君と同棲だなんて……羨ましい~」

口ではそう言いつつ目を細めて微笑んでいる遥の嬉しそうな表情を見て、沙弓も一緒に微笑んだ。

そして、沙弓が引っ越しせざるを得なくなってしまったクリスマスライブの後の出来事を思い出すのだった。