そしてクリスマスライブ同日、それまで宣伝の仕事で連日忙しかった陽人は今日も早朝からライブに行くために早朝から家を出るところだった。

「じゃ、行ってくるよ」

「うん、行ってらっしゃい」

いつもと同じ笑顔で今日の結果に対しての緊張を微塵も見せない陽人に沙弓もいつもと違って落ち着いた気持ちで話せた。
結果がどうあれ、やるべきことを必死にやってきたのは知っているからどんな結果になっても笑顔で迎え入れようと心から思えた。

「あのさ、もし今日の結果が……」

そこまで言って口をつぐんだ陽人は一度首を振ると、やっぱり何でもない。と笑った。

そんな陽人に沙弓はそっと近寄ると陽人の腕を少しだけ引っ張りその頬に一瞬だけ口付けた。

「っ……沙弓?」

「良い結果が出るように、おまじない」

頬に熱が集まるのを感じながらそう微笑むと陽人は満面の笑顔を見せた。

「これで怖いものなしだな……よし、今度こそ行ってくる」

そう言って今度は何も言うことなく出ていく陽人の姿を見送ってから沙弓は胸の前で両手を組んで目を閉じて祈った。

どうか、努力が実りますようにと。