二人を繋ぐ愛の歌

「そんなに警戒しなくても大丈夫ですよ。
嶋川さんのことはすぐに……とは言えませんが少しずつ諦める努力はしますから」

「……そんなに簡単に諦められるとは思えない」

小さな声で呟くような声を出す陽人の言葉が聞こえたのか南尾は、まあ確かに。と同意するように頷いた。

「でも、あなたが嶋川さんを泣かせない限りは何もしませんから。
もちろん秘密も守りますから安心してください」

真っ直ぐな瞳で陽人を見る南尾は嘘をついているようには見えなくて、沙弓は安心して息を吐くとにっこり微笑んだ。

「ありがとうございます」

「……いや、嶋川さんの為だからね」

照れたように視線を反らす南尾に陽人の沙弓を抱き締める力は少し強まった。

「別に秘密にしなくてもいいよ。
万が一マスコミや世間にバレても沙弓のことは何があっても守ってみせるから」

「もう……何でそんなに素直じゃないの」

何故か少し拗ねた様子の陽人に呆れていると陽人はふいっと視線を反らす。
そんな二人の様子を南尾が苦笑したまま見つめていた。