「なるほど……ハルト君達、ついに行動を起こしたのね」

沙弓がここに来た理由……即ち、Shineのプロデューサーである朝陽なら続報の出ないネットニュースよりも詳しい状況が分かるのではないかと期待して駆けつけたことを真未に話すと、真未はやっとかと言いたげな顔をしていた。

「……真未さんは驚かないんですか？」

「全然。
むしろ今まで何してたのって言うくらいあの子達が行動を起こさなかったから、そっちの方に驚いてたわ。
小さい時から目標だ野望だって言い続けていたのに」

コーヒーを飲みながらそう言う冷静な真未に呆気にとられつつも、その冷静さにつられて沙弓も少しずつ落ち着きを取り戻しつつあった。

「小さい時からって……そんなに昔から二人はトップアイドルを目指してたんですか？」

「そうよ。
そもそもその野望は朝陽が陽菜さんと勇人さん……ハルト君のご両親二人が出会う前から持っていた野望らしくて、二人の子供なら絶対頂点までいけるから！って生まれたばかりのハルト君にアイドルになること、そして頂点を目指すようにって事ある事に言い続けてたみたい」

「……まるで洗脳ですね」

「洗脳と言うか唆したと言うか……まあハルト君もユウナちゃんも幸いアイドルの才能はあったし、トップアイドルの頂点に立つって目標もいつしかちゃんと二人の夢になったみたいなんだけどね」

いつの間にか遠い目をして昔を思い出していた真未は最後には苦笑していた。
そんなに昔から夢を目指して走り続けてきたハルトとユウナの話に沙弓は驚くばかりだった。