次の日の会社では出勤早々、遥に満面の笑みで迎えられた。

土曜日の陽人のお宅訪問と日曜日のライブと南尾への返事……聞きたいことがたくさんあって仕方がなかったんだと言う顔をしていて沙弓は苦笑してしまった。

簡単にかいつまんで話すと遥は興奮したり驚いたり呆れたりと何とも表情豊かに話を聞いていた。
特に一番呆れられたのは、陽人が一晩泊まったのにも拘わらず何もなかったと言ったときで、あの男はダサメンなだけでなくヘタレかっ!!とデスクをバンバン叩きながら怒っていた。

南尾へちゃんと返事をしたと言ったときには諸手を上げて喜ばれた。
遥曰く、また隙をつかれて流されてしまうのではと心配していたらしい。

そうして朝のうちに遥への報告を終わらせて仕事を開始して数時間。
昼休憩になろうかというときに遥が突然大声を上げて立ち上がった。

「遥?どうしたの?」

ザワザワと部署内の人達が遥に視線を向ける中、沙弓が遥の顔を覗きこんでみると遥は驚きのあまり目を見開きパソコンを凝視していた。

何があったのかと沙弓もパソコンに視線を移すと、そこには大きくShineとKaiserと書かれたネットニュースが映っていた。

ーーShineがKaiserに挑戦状!!
トップアイドルの頂点争い、果たして革命は起こるのか!?ーー

挑戦状!?

書かれている記事を何度も読み返しながら、沙弓は昨日言っていた陽人の本気を出すという言葉の真意を今ここで漸く理解したのだった。