「お待たせしました」
しっかり温もってちゃんとバスタオルで拭いて、着てきた服よりお洒落で可愛らしい何故かサイズがピッタリのワンピースを着てシャワー室から出ると、堀原は一瞬だけ沙弓に視線を寄越してから頷いた。
「今の時間なら誰にも見られないだろうから急ぎます」
「え?あ、はい」
言ったそばから歩き出した堀原に沙弓は戸惑いながらもついていく。
てっきりライブ会場に戻るのだとばかり思っていたのだけれど、堀原はとある一室の前に立ち止まり周りを確認してからドアを開けて沙弓に中に入るように促した。
「そこにテレビがあって、電源を入れると今のライブの様子が見れます。
嶋川さんが持っていた荷物はここに」
そう言って鞄を差し出した堀原に沙弓は慌てて手を出して受け取りお礼を言った。
すると堀原はどこか気の毒そうな視線を沙弓に投げかけたのだった。
「あなたも本当に不憫ですね。
よりもよってハルトに気に入られるなんて……」
「え?堀原さん、何か言いましたか?」
声が小さすぎて聞こえなかった沙弓は首を傾げながら聞き返すが、堀原はもう一度言う気はないのか緩やかに首を振った。
「いえ、何でもありません。
では、暫くそこでお待ちください」
「あ、えっと堀原さんっ」
すぐに部屋を出ていってしまった堀原に沙弓が呼び止めようとした声は届かなかったらしく、沙弓は一人にされたこの部屋で半ば呆然としていた。
この部屋は元から誰か使っているのか荷物が置いてあるから居心地が悪く感じるし、可能ならライブを見に戻りたかった。
けれど右も左も分からないこの場所で勝手に動き回ることも出来ないので、沙弓は小さくため息をついてから大人しく近くの椅子に腰を落ち着けたのだった。
しっかり温もってちゃんとバスタオルで拭いて、着てきた服よりお洒落で可愛らしい何故かサイズがピッタリのワンピースを着てシャワー室から出ると、堀原は一瞬だけ沙弓に視線を寄越してから頷いた。
「今の時間なら誰にも見られないだろうから急ぎます」
「え?あ、はい」
言ったそばから歩き出した堀原に沙弓は戸惑いながらもついていく。
てっきりライブ会場に戻るのだとばかり思っていたのだけれど、堀原はとある一室の前に立ち止まり周りを確認してからドアを開けて沙弓に中に入るように促した。
「そこにテレビがあって、電源を入れると今のライブの様子が見れます。
嶋川さんが持っていた荷物はここに」
そう言って鞄を差し出した堀原に沙弓は慌てて手を出して受け取りお礼を言った。
すると堀原はどこか気の毒そうな視線を沙弓に投げかけたのだった。
「あなたも本当に不憫ですね。
よりもよってハルトに気に入られるなんて……」
「え?堀原さん、何か言いましたか?」
声が小さすぎて聞こえなかった沙弓は首を傾げながら聞き返すが、堀原はもう一度言う気はないのか緩やかに首を振った。
「いえ、何でもありません。
では、暫くそこでお待ちください」
「あ、えっと堀原さんっ」
すぐに部屋を出ていってしまった堀原に沙弓が呼び止めようとした声は届かなかったらしく、沙弓は一人にされたこの部屋で半ば呆然としていた。
この部屋は元から誰か使っているのか荷物が置いてあるから居心地が悪く感じるし、可能ならライブを見に戻りたかった。
けれど右も左も分からないこの場所で勝手に動き回ることも出来ないので、沙弓は小さくため息をついてから大人しく近くの椅子に腰を落ち着けたのだった。



