二人を繋ぐ愛の歌

「何でそんな可愛いことを俺のいないところでしてるのさ。
やっぱ持たないかも、俺の理性……」

「え……」

何やら不穏な言葉が最後に聞こえたと思ったら陽人に抱き締められ、そのままベッドに倒されてしまった。
慌てて起き上がろうとしても離してくれる気配のない陽人に沙弓の顔は熱くなり、心臓もドキドキとうるさい。

そう思っていたら自分の心臓の動きとは違う早めの鼓動の音が聞こえてきて沙弓は毛布の中で首を傾げた。

「もう……本当、勘弁して……」

苦しそうな声色で呟かれた陽人の胸に丁度自分の耳が当たっているようで、忙しなくドクドクと高鳴っている鼓動が陽人のものなのだと暫くしてから気付いた。

「陽人、ドキドキしてる……」

「……当たり前だろ?特別に思ってる人がこんな可愛いことしてるなんて夢にも思わなかったし、そんなことしてるって知ったら……めちゃくちゃに甘やかしてみたくもなった」

「甘やかす……」

って、どうやって……。

そこまで口に出せずに口ごもると毛布を捲られ顔を出された。
暗くてよく見えないが、陽人の目が切な気に揺れているのだけは分かり沙弓の胸はキュンとなった。

「早く……早く沙弓を手に入れたい」

そう言いながら陽人は額、頬、目尻、目蓋と唇以外の顔中にキスを落としていった。
抑えきれない感情を少しずつ発散させるかのようなその行動に沙弓はいつしか全身の力が抜けていくのだった。