「何かアプローチされたりとかした?」
「ううん、そういうのは全く。
多分、今までと変わらないように接してくれてる……と思う」
「何、その曖昧な答え」
沙弓の返事に不満なのか陽人は微妙な顔をした。
けれど、本当にあれから南尾は何も変わった様子は見せないのだ。
偶然廊下で会ったときに一言二言話したり、書類作成を頼みに来たときに顔を合わせるくらいのもので、用もなく会ったりとか不要な会話をしたりとかそういうのは一切ない。
その状態を“今までと多分変わらない”と表現したのは沙弓が他人に興味がなく、名前と顔を覚えられなかったので、こうなる前の南尾のことを全く覚えていなかったからだった。
ただ、遥からすれば南尾の沙弓を見る眼差しは確実に今までと違うらしい。
沙弓を見つめる目が甘いのよっ!と言われて周りの同じ部署にいた人達も同意するように頷いていた。
その事を伝えると陽人は先程よりも不満を感じたのか明らかに眉を潜めた。
そして手持ち無沙汰になっていた沙弓の手に触れると指と指を絡めてきた。
「南尾の提案、受け入れないよな?」
「うん、南尾さんには悪いけどお試しで付き合うとかは考えられないかな。
それに……」
自分にはもう陽人がいるーー。
その言葉は決定的な言葉になりそうで口に出せず飲み込むが、陽人は察してくれたらしく嬉しそうに微笑んでいた。
「ううん、そういうのは全く。
多分、今までと変わらないように接してくれてる……と思う」
「何、その曖昧な答え」
沙弓の返事に不満なのか陽人は微妙な顔をした。
けれど、本当にあれから南尾は何も変わった様子は見せないのだ。
偶然廊下で会ったときに一言二言話したり、書類作成を頼みに来たときに顔を合わせるくらいのもので、用もなく会ったりとか不要な会話をしたりとかそういうのは一切ない。
その状態を“今までと多分変わらない”と表現したのは沙弓が他人に興味がなく、名前と顔を覚えられなかったので、こうなる前の南尾のことを全く覚えていなかったからだった。
ただ、遥からすれば南尾の沙弓を見る眼差しは確実に今までと違うらしい。
沙弓を見つめる目が甘いのよっ!と言われて周りの同じ部署にいた人達も同意するように頷いていた。
その事を伝えると陽人は先程よりも不満を感じたのか明らかに眉を潜めた。
そして手持ち無沙汰になっていた沙弓の手に触れると指と指を絡めてきた。
「南尾の提案、受け入れないよな?」
「うん、南尾さんには悪いけどお試しで付き合うとかは考えられないかな。
それに……」
自分にはもう陽人がいるーー。
その言葉は決定的な言葉になりそうで口に出せず飲み込むが、陽人は察してくれたらしく嬉しそうに微笑んでいた。



