「もうっ!スキャンダルになって頂点に立てなくなっても知らないからねっ!?」
【多幸】からの帰り道、好きなおかずを選んで詰め合わせる店舗限定オリジナル弁当を二つ手に持った陽人の空いた片手に手を引かれながら沙弓はまだ仄かに赤い顔のまま怒った。
「大丈夫、そんなヘマはしないから」
「でも人目があるところであんなことしたり、こんな風に手を繋いだりしてたら……」
「今の俺の姿はハルトと違って他人の興味をひかない。
こんなことをしても平気なはずだよ」
そう言いながら陽人は沙弓と繋いでいた手を持ち上げるとその手の甲にそっと口付けた。
二度目となるその行動に沙弓は驚いて手を引こうとしたが、陽人がしっかり手を握っていてそれは叶わなかった。
「ほら、誰も気にしてないだろ?」
いつの間にか着いていた駅前の人通りもそれなりにある中なのに、こっちを気にしている人は確かに誰一人としていなかった。
だからと言って許容出来る行動かどうかと聞かれれば、沙弓は即刻否と叫ぶだろう行動だった。
「もう、こんなことばかりするなら帰ってくれていいんだからねっ!?」
「ごめんごめん、もう人前ではしないから機嫌直してよ」
「人前じゃなくてもしないでよ!」
「……それは、まぁ……俺の理性が持てば?」
「っ……やっぱり帰って!!」
手をしっかり握り、軽い口論をしながらホームに向かって歩いていく二人の姿は他人から見れば仲の良い恋人同士のようだったのだけれど、その事に二人は気付くことなくタイミング良くやってきた電車に乗り込んだのだった。
【多幸】からの帰り道、好きなおかずを選んで詰め合わせる店舗限定オリジナル弁当を二つ手に持った陽人の空いた片手に手を引かれながら沙弓はまだ仄かに赤い顔のまま怒った。
「大丈夫、そんなヘマはしないから」
「でも人目があるところであんなことしたり、こんな風に手を繋いだりしてたら……」
「今の俺の姿はハルトと違って他人の興味をひかない。
こんなことをしても平気なはずだよ」
そう言いながら陽人は沙弓と繋いでいた手を持ち上げるとその手の甲にそっと口付けた。
二度目となるその行動に沙弓は驚いて手を引こうとしたが、陽人がしっかり手を握っていてそれは叶わなかった。
「ほら、誰も気にしてないだろ?」
いつの間にか着いていた駅前の人通りもそれなりにある中なのに、こっちを気にしている人は確かに誰一人としていなかった。
だからと言って許容出来る行動かどうかと聞かれれば、沙弓は即刻否と叫ぶだろう行動だった。
「もう、こんなことばかりするなら帰ってくれていいんだからねっ!?」
「ごめんごめん、もう人前ではしないから機嫌直してよ」
「人前じゃなくてもしないでよ!」
「……それは、まぁ……俺の理性が持てば?」
「っ……やっぱり帰って!!」
手をしっかり握り、軽い口論をしながらホームに向かって歩いていく二人の姿は他人から見れば仲の良い恋人同士のようだったのだけれど、その事に二人は気付くことなくタイミング良くやってきた電車に乗り込んだのだった。



