「沙弓の家に陽人さんが来る?」

「そ、そうなの……!どうしよう……!?」

陽人から電話があった日、沙弓は眠ることもせずに大掃除かと思われても仕方ないような部屋の掃除に勤しんでしまい、寝不足の状態で出社してすぐに遥に泣きついた。

あの時は多忙な陽人のことが心配で、下手に外へ出歩くよりは家でゆっくりと……と提案したのだけれど、電話を切ってから自分が仕出かしてしまった事の重大さに軽く数十分は固まり、次の瞬間には一気に顔が赤くなってベッドに飛び乗って枕を叩き続けた。

ーーお家デートって……まだちゃんと彼氏でもない人を家にあげてどうするのっ!!

心の中で自分自身に突っ込むが、すでに約束してしまったことは仕方ない。
それに……。

ーー楽しみにしてる。

あんなに嬉しそうに言われたら今更違う場所でだなんて言えるはずもなく、せめて陽人が家に来たときに恥ずかしくないよう家を綺麗に掃除することしか出来なかったのだった。