「大体、沙弓の彼氏候補は何やってるのよ!
さっさと付き合うなりなんなりしてたらこんな面倒な事にならなかったかもしれないじゃない!」

「遥、呑みすぎよ?」

一通りの説明が終えたら次は食事だと遥と二人食べたり呑んだりしていたが、沙弓のペースに合わせて呑んでいたからか遥はすっかり酔っぱらってしまったらしく陽人に対しての文句を言い始めてしまった。

「これが呑まずにいられないでしょう!?どんな理由があるにしても、両想いなのに付き合わないなんて中途半端なのよ!
現にその隙を横からつけこまれそうになってるんでしょう!?」

持っていたビールジョッキをドンッ!と音を立てて机に置く遥に沙弓は思わず笑った。
酔っているとしてもこんなに感情を顕にして怒ってくれているのが素直に嬉しく感じていると遥に睨まれてしまった。

「何笑ってるのよ、自分の事でしょう」

「うん、そうなんだけどね」

「大体沙弓はそんなんだから……!」

「あー、そうだ私ちょっと化粧室に行ってくるね!」

遥の怒りの矛先が自分に向かいかけたのを察した沙弓は慌てて立ち上がり個室を抜け出す。
後ろで遥が、話を聞きなさいっ!!と言っている声が聞こえるけれど、沙弓はそそくさと化粧室に逃げ込むのだった。