二人を繋ぐ愛の歌

「あのこれ、余り物ですけど良かったら貰っていただけませんか?」

「え、これって……」

「さっき貰った【多幸】の惣菜です。
唐揚げ、春巻き、筑前煮……あ、白米もちゃんとあるみたいですよ」

袋の中を覗いて中に入っている物を確認していると、男性は少し戸惑ったように口を開いた。

「……でも、それは君のでしょ?」

「お店に寄ったら余ったからって貰ったんですけど、どう頑張っても一人でこんなに食べれないですから」

「一人?」

「ん?そうです、一人ですけど?」

「家族とか……彼氏と食べたりとかしないの?」

「そんなのいませんよー。
実家も離れて一人暮らしですし、貰っていただけるとすごく助かります」

じっと何かを探るような男性の視線には気付かず両手に持った袋をもう一度差し出すと、男性は納得したのかそっと袋を受け取った。

「ありがとう、こっちこそ助かるよ」

「どういたしまして。
では、私はこれで」

両手も軽くなったし足取り軽く帰れそうだと会釈してから一歩足を踏み出すと男性も付いてきた。

「……もしかして同じ駅ですかね?」

「そうみたいだな。
惣菜のお礼に駅までボディーガードさせてくれる?」

「ボディーガードなんて大袈裟ですけどね」

重たい荷物もなくなり足取りが軽くなった沙弓は駅まで男性と会話を楽しんだ。
どうやら男性は見た目は地味で陰気な感じなのに中身はそうでもないようで、外見からはそう見えないほどの軽快なトークに一緒に話していてとても楽しく感じられた。