『ちゃんと伝わってる……って言うか……ね、ねえ陽人?そう言うこと、言ったり言わせたりするのやめてほしい……。
……恥ずかしいから……』

陽人のストレートな物言いと問い掛けが本気で恥ずかしいのだろう、電話の向こうの沙弓の声は震えていた。
真っ赤になっている沙弓を想像すると陽人は強く抱き締めたい衝動に駆られ、自分の手を強く握り締めた。

「ごめん……でも電話でもないとこう言うことは人目を気にして言えないし、聞けないからさ……たまには言わせてよ。
そして答えを聞かせてほしい」

そう言うと沙弓はまた黙りこんでしまった。
暫く待ってみたが反応がなくて、陽人は少し心配になった。

「沙弓……?」

名前を呼ぶその声が、自分から出たとは思えないほど熱を含んでいた。
沙弓が小さく息を飲むのが伝わり、暫く間が空いた後に出た言葉は、沙弓なりの照れ隠しのようだった。

『……陽人って、意地悪……』

「……それは俺にとっての誉め言葉だな」

ああ……会いたい。
早く会って人目も憚らず抱き締めて、沙弓へ甘い言葉をたくさん伝えたい。

沙弓への熱い想いを再び自覚したと同時に、勇菜が収録の時に言った“ハルトに想われる人が可哀想”という意味を唐突に理解した。