『実は、この前も雑誌インタビューの記者の方が同じ事言ってたんですよ。
ハルトが恋をしたんじゃないかって噂になってるって』

『それを聞いてユウナちゃんはどう思った?』

『有り得ないって思いました』

にこにこと邪気のない笑顔で即答するものだから、ハルトとユウナ以外の全員が目を丸くして固まってしまった。
けれどすぐに司会者が我に返ると身を乗り出して、それは何故なのかと聞いた。

『その噂の出所は今回の二つの新曲が今までと違ったメロディと歌詞だからだそうですけど、だからって恋をしてるって結び付けるのはどうかなぁって思うんです。
私も何度か曲を作りましたけど、作曲も歌詞もその時の心情で大分変わっちゃうんですよ?何より、ハルトに女の人の影を見たことがないんですもん!今まで一度もですよ!?』

両手を握り力説するユウナに司会者は、なるほど……。と納得してから口を開いた。

『じゃあ、もしユウナちゃんが気付いてないうちにハルト君に想い人がいたとしたらどう思う?』

『可哀想だと思います』

これまた即答したユウナの頭にハルトはコツンと手の甲を当てた。

えへへ。と舌を出して誤魔化すように笑うユウナに呆れた眼差しを向ける。
後日、その仕草と表情がいい!とファンの間で話題になったらしいのだが、それはまた別の話だった。