「Shineとして活躍してきたハルト君なら色々なお仕事でたくさんの方と出会ったんじゃないですか?」

「そうですね、ライバルとなりうる歌手の方にアナウンサーの方やスポーツ選手、芸人の方や一般人の方々……数多くの人達にお会いしましたね」

「そんな中でタイプの方がいらしたり……!」

そう言いながらさっきよりググッと前に身を乗り出してきた記者にハルトはさらに身を引く。

「どうでしょうね?残念ながらその方達の内面を知れるほど関わりあったことがないのでなんとも」

「内面でなく顔の好みだとか……」

「……」

その質問にハルトは満面の笑みを浮かべたまま黙った。

記者も隣にいたユウナもハルトの目が笑っていないことにすぐに気付いたようで、記者は暫く固まった後、失言でした。と頭を下げてから机の上を片付け始めた。

ハルトが自分のことを含め、周りに対することでも外見を重視するような話をするのが気に入らず、その類いの話は禁句だと言われているのはこの業界では有名な話だった。

その理由は誰も分からなかったとしても、ハルトのような整った顔を持つ人の冷たい眼差しに加え、絶対零度とも言えるような笑顔を目の当たりにしたい変わり者などはいないので、例え冗談でも口にする者はいなかった。