二人を繋ぐ愛の歌

「いつもライブのチケットは即完売となっていて凄まじい競争率ですね。
その事に関してどのような気持ちですか?」

「そうですね、デビューしたての頃は皆さんにここまで受け入れてもらえるか不安一杯だったので、とても嬉しいです」

笑顔で話すユウナの言葉に頷き、記者はノートにメモを取っていく。

何せ親のコネだとか七光りだとか言われたくなくて、誰もが認めるほど有名になるまでハルトとユウナと言う名前と兄妹だと言うこと以外は情報を流さないことを徹底して謎の兄妹アイドルとして活動していた。

そんな状態でどこまで世間に受け入れられるのか、あの時は本当に手探りな状態だったのだ。

「今となってはkaiserに匹敵するほど有名になりましたものね」

「まだ“匹敵”なんです。
私達の野望はkaiserを越えること、です」

「それはまた大きな野望ですね。
でも、Shineならいつか達成できそうですね」

「達成できそうじゃなくて、するんですよ!」

両手を握り力説するユウナに記者は笑顔で何度も頷いた。
これはきっと記事で大きく取り上げられそうだと思っていると、記者はノートを見て次の質問を口にした。

「今回のライブではあの話題のCM曲も歌われるんですよね?」

「そうなんです。
それだけではなくて、その曲のカップリングも歌わせてもらう予定なんですよー」

「CM放送と同時にリリースされたCDのカップリングですね。
とても対照的な曲となってますが、何か狙いがあってのことでしょうか?」

「どうなんでしょうか、ハルト」

それまで二人で話していたのに、あえてこの話題を振ってきた事にハルトは苦笑してセットされた髪型が乱れない程度に小さく頭を掻きながら視線を反らした。