「陽人の気のせいじゃないかな?私、あんまり南尾さんと話したことないし……て言うか、つい最近まで南尾さんの顔と名前一致してなかったし」
「沙弓が興味なかっただけで、向こうもそうだとは限らないだろ?南尾からの一目惚れっていうこともあるし、会社で何度か見かけるうちにいつの間にかって事もあるはずだ」
「ええ……?私なんかにそんなことないと思うけどなぁ」
南尾は社内では彼氏にしたいナンバーワンの男でたくさんの女性が狙っていると聞いた。
そんな人があえて何の取り柄もない自分に気を寄せるなんてことがあるはずがないと笑うと陽人の眼差しの中にほんの少しの苛立ちが含まれている気がした。
「……それ、本気で言ってる?」
「本気も何も……現に今までにそんな素振り見たこともな……」
「そっちじゃなくて、“私なんかに”って本気で思って言ってるの?」
そう言われて首を傾げた。
さっきまで陽人が苛立っていた原因が何故か南尾であることは察していたけれど、今は何か違うことで怒っているような気がしたからだった。
それが何に対してなのか全く見当がつかず困り果ててしまうと、陽人は徐に手を伸ばして沙弓の後頭部に手を回すとグイッと自分の肩に沙弓の額を押し付け耳元に口を近付けた。
「沙弓が興味なかっただけで、向こうもそうだとは限らないだろ?南尾からの一目惚れっていうこともあるし、会社で何度か見かけるうちにいつの間にかって事もあるはずだ」
「ええ……?私なんかにそんなことないと思うけどなぁ」
南尾は社内では彼氏にしたいナンバーワンの男でたくさんの女性が狙っていると聞いた。
そんな人があえて何の取り柄もない自分に気を寄せるなんてことがあるはずがないと笑うと陽人の眼差しの中にほんの少しの苛立ちが含まれている気がした。
「……それ、本気で言ってる?」
「本気も何も……現に今までにそんな素振り見たこともな……」
「そっちじゃなくて、“私なんかに”って本気で思って言ってるの?」
そう言われて首を傾げた。
さっきまで陽人が苛立っていた原因が何故か南尾であることは察していたけれど、今は何か違うことで怒っているような気がしたからだった。
それが何に対してなのか全く見当がつかず困り果ててしまうと、陽人は徐に手を伸ばして沙弓の後頭部に手を回すとグイッと自分の肩に沙弓の額を押し付け耳元に口を近付けた。



