手を引かれて連れてこられたのは以前沙弓が陽人を案内した大衆居酒屋。
陽人が戸惑いなく店内に入ると大将と女将が声をかけようと顔を上げるとバチッと目が合った。
「お、誰かと思ったら沙弓とこの前の兄ちゃんじゃないか!」
「手なんて繋いじゃって!やっぱり彼氏だったんじゃないの?」
「なんだとっ!?」
「だ、だから違いますって、まだ……」
そう小さく呟くと大将は複雑そうな顔を、女将は、あらまあ。と微笑ましそうな顔を、陽人は目を細めて繋いだ手の力をほんの少しだけ強めた。
前回と同じように周りからは見えにくい奥まった場所を陣取ると、陽人は前髪を掻き上げて隠された瞳を露にするとじっと見つめてきた。
「何あの男」
「えっと、営業の南尾さん。
前に一緒にCM撮りの……」
「それは知ってる」
だったら何を聞きたいのかと沙弓が首を傾げると、陽人はイライラと落ち着かない様子で髪を掻き乱した。
「あいつ、沙弓に気があるから気を付けて」
「え?そんなことないと思うけど……」
南尾とは仕事の話しか殆どしたことがなく、それ以外の接点もない。
さっき話しかけられた時の南尾の態度はいつもと違ったように思ったけれど、だからと言って自分に気があるとはとても思えなかった。
陽人が戸惑いなく店内に入ると大将と女将が声をかけようと顔を上げるとバチッと目が合った。
「お、誰かと思ったら沙弓とこの前の兄ちゃんじゃないか!」
「手なんて繋いじゃって!やっぱり彼氏だったんじゃないの?」
「なんだとっ!?」
「だ、だから違いますって、まだ……」
そう小さく呟くと大将は複雑そうな顔を、女将は、あらまあ。と微笑ましそうな顔を、陽人は目を細めて繋いだ手の力をほんの少しだけ強めた。
前回と同じように周りからは見えにくい奥まった場所を陣取ると、陽人は前髪を掻き上げて隠された瞳を露にするとじっと見つめてきた。
「何あの男」
「えっと、営業の南尾さん。
前に一緒にCM撮りの……」
「それは知ってる」
だったら何を聞きたいのかと沙弓が首を傾げると、陽人はイライラと落ち着かない様子で髪を掻き乱した。
「あいつ、沙弓に気があるから気を付けて」
「え?そんなことないと思うけど……」
南尾とは仕事の話しか殆どしたことがなく、それ以外の接点もない。
さっき話しかけられた時の南尾の態度はいつもと違ったように思ったけれど、だからと言って自分に気があるとはとても思えなかった。



