「……君が誰かは知らないけど彼氏でもないのにいきなり背後から女性の腕を掴むなんて事するべきじゃないと思うし、何より距離が近すぎるんじゃないか?」
睨むような眼差しはそのままに南尾が少し声を低くして陽人を咎めるが、陽人は声を発しない。
二人の剣呑な雰囲気にやっと気付いた沙弓は戸惑うが、陽人は全く物怖じする様子もなくじっと沙弓の腕を掴んだ南尾の手を睨みつけていた。
「あの……とりあえず二人とも手を離してください」
会社帰りであろう周りの人達と遥からの興味津々な視線が痛い。
何の羞恥プレイだと沙弓は恥ずかしさのあまり小さくなりそうな声で訴えかけると、周りの状況を察した南尾は慌てて手を離した。
けれど陽人の腕はいつまで経っても離れそうになくて沙弓がそっと見上げると、陽人は前髪から覗く真剣で真っ直ぐな瞳を沙弓に向けていた。
「離したくない」
そう一言だけ言われ目を見開くと陽人は沙弓の腕を掴んでいた手をするすると滑らせ、ついには沙弓の手を捕らえて指を絡めるように握ってきた。
これはアイドルの成せる技なのか、それとも陽人自身の魅力なのか、時折垣間見える陽人の熱のこもった瞳に沙弓は再び真っ赤になると慌てて顔を反らして遥の方を見た。
「ご、ごめん遥、食事に行くのはまた今度でもいい?」
「全然いいよっ!むしろこんな状態で一緒に行けないし!」
「ごめんね、埋め合わせはまた……」
「絶対よ!?そしてこの状況の話を詳しく聞かせてよ?」
そう満面の笑みで言われて沙弓は苦笑すると、南尾に軽く会釈した。
「あの、では、また会社で」
「あ、ああ、また……」
少し戸惑いながらそう言った南尾は陽人を再び睨み付けていた。
何故この二人はこんなに険悪なムードなのか。
CM撮りの時に何があったのだろうかと首を傾げながら、沙弓は陽人に手を引かれるままにその場を後にした。
睨むような眼差しはそのままに南尾が少し声を低くして陽人を咎めるが、陽人は声を発しない。
二人の剣呑な雰囲気にやっと気付いた沙弓は戸惑うが、陽人は全く物怖じする様子もなくじっと沙弓の腕を掴んだ南尾の手を睨みつけていた。
「あの……とりあえず二人とも手を離してください」
会社帰りであろう周りの人達と遥からの興味津々な視線が痛い。
何の羞恥プレイだと沙弓は恥ずかしさのあまり小さくなりそうな声で訴えかけると、周りの状況を察した南尾は慌てて手を離した。
けれど陽人の腕はいつまで経っても離れそうになくて沙弓がそっと見上げると、陽人は前髪から覗く真剣で真っ直ぐな瞳を沙弓に向けていた。
「離したくない」
そう一言だけ言われ目を見開くと陽人は沙弓の腕を掴んでいた手をするすると滑らせ、ついには沙弓の手を捕らえて指を絡めるように握ってきた。
これはアイドルの成せる技なのか、それとも陽人自身の魅力なのか、時折垣間見える陽人の熱のこもった瞳に沙弓は再び真っ赤になると慌てて顔を反らして遥の方を見た。
「ご、ごめん遥、食事に行くのはまた今度でもいい?」
「全然いいよっ!むしろこんな状態で一緒に行けないし!」
「ごめんね、埋め合わせはまた……」
「絶対よ!?そしてこの状況の話を詳しく聞かせてよ?」
そう満面の笑みで言われて沙弓は苦笑すると、南尾に軽く会釈した。
「あの、では、また会社で」
「あ、ああ、また……」
少し戸惑いながらそう言った南尾は陽人を再び睨み付けていた。
何故この二人はこんなに険悪なムードなのか。
CM撮りの時に何があったのだろうかと首を傾げながら、沙弓は陽人に手を引かれるままにその場を後にした。



