二人を繋ぐ愛の歌

はっきり言って、自分の考えが甘かった。そう思わずにはいられなかった。

あれから何日も経ちいざライブチケットの発売日となった時、仕事終わりに買おうとのんびりしていたら昼休憩の時点では既に完売していると遥に教えられた。
しかもネットも電話回線も全く繋がらない中での即完売でShineの人気の凄さを改めて実感した瞬間だった。

「あー、今回は無理だったー……」

「でも他の会場のライブチケットはまだ販売前なんだよね?遠いけどそこを頑張ってみたら……」

「無理。
Shineの追っかけする為に有給ほとんど使ってて泊まりがけでライブに行く纏まった休みはもう取れないの」

「それは……自業自得?」

「違うわよっ!Shineへの愛なのよっ!!」

そう叫びながらデスク周りに飾っているShineグッズに泣きつく遥の肩を慰めるかのようにそっと叩いた。

「こうなったらやけ酒よっ!沙弓、今晩付き合って!!」

「いいけど……仕事終わるの?」

Shineのライブチケットの事ばかり気にしていた遥のデスクの上には未処理の書類が山積みになっていた。
今から頑張っても絶対に定時で終わりそうにない書類の量に視線を向けると遥は一瞬だけ固まった。

「……お願い沙弓、手伝ってー!!」

案の定泣きついてきた遥に沙弓は小さく息を吐き、山積みになっている書類の一部分を手に取ったのだった。