二人を繋ぐ愛の歌

「何にしても、これで私達がこの仕事で携わるべき事は全部終わったね」

そう安心したような表情を浮かべるユウナにその場にいた沙弓以外の全員が頷いた。

この後は先日撮った映像と出来上がった歌を編集したり製作側と販売会社側とCM試写会をしたりなど、実際にCMが流れるまでに細かい作業がたくさんあるらしいがそれにShineが関わることはもう殆どなく、もうこの件に関しての仕事は終わったも同然らしかった。

「どんなCMが流れるのかワクワクするね」

「私の会社の人達もすごく楽しみにしてます。
本当にお疲れ様でした」

芸能人が、しかも世間を賑わすビッグアイドルがまさかの逆オファーでCMを請けくれるなんて我が社始まって以来の事で、何か進展がある度にお祭りのように騒いでいた。

そのせいで沙弓が渡した試供品がどうやってShineに行き着いたのかとか、打ち合わせはどうだったのかとか、Shineに指名されてCM撮りの見学に付き添って行った時もどんな感じだったのかとか、周りの興味本意の視線と質問攻めも凄かったのだけれど、やっと平穏な日々が帰ってくるんだなぁと思うと沙弓もどことなく安心してしまった。