風の向かう場所を、



知っている人は誰もいない。



風を見た、



風に触れたという



話も聞いたことがない。



そして、



風はどんな場所だろうと吹き抜けていく。



空の上の流れる雲と同じで、



場所も時間も選ばず吹き抜けていく。



誰かの想いを運ぶためではない。



私の頬をそっと撫でるためでもない。



ただ、どこかへ向かうかのように



吹いている。