「今日暑くない?」

「うん、ムシムシする。」

学校にいくと、教室の中は暑さでやられた人が数名。

うちわで扇ぐ人もいれば、下敷きで扇ぐ人もいる。

「おはよう。」

「あ、おはよう。」

友人である佐野 優実は後者の方で、下敷きで顔をパタパタしていた。

うっすら汗が滲んでいるから、優実も来たばかりなのだろう。

「もうすぐ夏休みなのに、こんなに暑かったら干からびちゃうよ…」

「まぁ、7月だからね。」

とはいっても、確かに暑い。

今日は湿気が強いからなおさらだ。

「二人ともおはよー!」

しばらく優実と談笑していたら、松原 恵がやってきた。

今日も今日とて立派な睫毛に、綺麗に巻かれた髪。

一日だって気を抜いたところを見たことがない。

やはり、モテるだけはあるな。

と、恵を見て妙に感心する。

「おはよう、なんか機嫌良いね。」

「えー、よくないよ~!

湿気が強いから髪まとまらないし…」

自身の髪を撫でながらそう言うが、どう見ても綺麗にまとまっていますが?

優実も同じ事を思ったようで、私と目を合わせる。