「ほら、こんなとこで話してたら遅刻しちゃうよ。早く行こ!」


「あ、うん。」


みずほを連れて走り出す。


ろうかは走らないなんて規則は私には通用しない。へへっ


「あ、和馬も早く教室来なよー!」


走り際にそう声を張る。


「あ、何だとこら!柚葉てめ、俺のことは無視かよ!」


私は後ろを振り向いて口の端をちょこっとあげる。


「ふっ」


その瞬間、直人の目の下がぴくぴくしたのが分かった。


「柚葉!教室行ったら覚えてろよ!」


そのころの私にはもう聞こえていなかった。