第1話
急な連絡

暑くて苦しい夏がまだほんの少し去るのを躊躇っている頃。部活終わりの部室で汗を拭きながらスマホを開くと、見慣れない名前からLINEが来ていた。

『柊』

柊??
柊ってあの…?
LINEを開くと、まだ何も書かれていなかったトークルームに素っ気なく、
「久しぶり。今度ひま?遊びに行きたい。」
と簡潔な文章が。
しばらく考えた後
「久しぶり。急にどうしたの?」
と送ってみる。
彼の名前は小野田 柊。
私の幼なじみ。色々あって中学校にはあんまり来てなくて言わゆる不良とかヤンキーの部類。
私…。中川 莉桜はと言うと、はっきり言って彼とは正反対。親は厳しいし、習い事もいっぱいさせられて、部活もガチでやってるし、言わゆる箱入り娘って感じ。
小さい頃からの幼なじみで、初めて会ったのは3歳の頃。そっから小学校、中学校一緒だったけど、得に中学校ではほとんど関わりは無かった。
思春期と言うやつのせいなのか…。
思いを馳せているとスマホが震えた。
「いや、何となく(笑)色々あったからパーっと遊びたいなって。だめ?」
彼が何となくと言う時は何かあった時。
高校に入ってから部活が忙しすぎて中学校の同級生とはほとんど関わりのなかった私にとって彼からの連絡は少なからず嬉しかった。
ほんの少し思案したが
「うん。午後からでよかったら。」
と送った。それから日にちなどを決めて、遊ぶ約束をした。