私は、戸惑っていると
社長は、眉を寄せて頭をかいた。
「悪い。怒っているんじゃない。
焦っているんだ!
まったく……ベルの奴。遊んでほしいのか
書類を作っている最中にキーボードに向かって
ダイビングしやがって。
お陰で作成していた文章が全て滅茶苦茶だ!」
キーボードに向かって
ダイビング……!?
それは、また驚きな真実だった。
じゃあ、怒っている訳ではなくて
必死にやり直していたのね。
良かったと思いつつも
抱っこしていたベルを覗き込んだ。
「ベル……ダメでしょう?
ご主人様の邪魔をしちゃあ……」
メッと叱りつけるが当の本人は、
「ニャー?」と大きな目をパチクリとさせながら
首を傾げていた。
その際にしっぽは、ふりふりしている。
どうやら意味を分かっていないようだ。
これは、反省する気がないわね。
ふぅっ……と呆れていると社長は、
同じようにため息を吐いてきた。
「まったく……これで何度目だ?
前も同じことをして叱ったばかりなのに
すぐにケロッとしているし。
せっかく会社に居るから
お前と一緒に昼飯を食べるはずが……」
社長は、さらに不機嫌になっていた。
常習犯だったのね……。
だが私と一緒にお昼を食べるつもりだったと
分かり嬉しく思った。
するとノックの音がした。
社長が入れと言うとドアが開いた。
入って来たのは、秘書の新田さんだった。
「失礼します。社長。
頼まれていた物を買ってきました」
「うむ。ご苦労。
美織。手が離せないからお前が受け取って
ベルにやってくれ」
社長は、私に受け取るように指示を出してきた。
私は、返事をすると新田さんから
荷物を受け取った。



