仕方がないので、私がリードを持ちながら
ベルの動きに合わせて歩くことにした。
これなら逃げ出さないだろう。

「ニャーニャー」

ベルは、上機嫌に近くにある物を触ったり
匂いを嗅いだりしていた。
その度にぐいぐいと強くリードを引っ張るので
アダムと正反対の性格をしているなぁと思った。

ミチルは、相変わらずレジャーシートの所で
のんびりとひなたぼっこをしていた。
こちらも正反対のようだ。

しばらくそれに付き合っていると
社長が私を呼んできた。

「美織。腹減ったから
そろそろお昼にするぞ!」

私は、返事をするとベルを連れて行くため
抱っこをしようとした。すると
ベルは、勢いよく走り出してしまった。

あ、こら!!
慌てて捕まえようとしたが靴の紐を踏んでしまい
そのまま転倒してしまった。
ドサッて思いっきり転んでしまう。

「キャアッ!?」

痛い……。
起き上がり膝を見てみると擦りむいて
血が出ていた。

「美織。大丈夫か!?」

慌てて社長とアダムが駆け寄ってくれた。
ベルも心配をしてか、こちらに
寄ってきてくれた。

「大丈夫です。
アハハッ……転んじゃいました」

派手に転ぶなんて恥ずかしい。
苦笑いしていると社長は、手を差し出してきた。

「立てるか?」