本当はもう分かっていた……………

「陽!」呼びかけているのに反応しない陽。

その横顔は見飽きたはずなのに毎回綺麗だなと思ってしまう自分がいて……陽の目線の先にはいつだって私じゃないあの子がいる。

「ねぇ、陽!聞いてる?」

『あ、ごめん……ちょっとぼーっとしてた』

『で?何の話してたっけ?!』

「全然聞いてなかったの?」

「花火!」

「優斗が行こって!」

『花火か!いいな!』

「まぁ朔はあんまり乗り気じゃないみたいだけど………」

「優斗はすごく楽しみにしててはしゃいでるから、4人で行こって話!」

『うん!行こぜ!』

「本当に…………」

私は開いた口が塞がらない。

『なんだよ!行ったらダメのか?』

「そんなわけないじゃん」


てっきり私はあの子を誘って一緒に行くと思っていたから………
驚きのあまり口を開けてしまった。


『花は浴衣着て行くのか?』

「俺は着て行くよー」と言いながら入ってきた優斗。

「バカお前に聞いたんじゃないだろ」と朔。

「私は………皆が着て行くなら着よかなって思ってるよ」

『そっか………』

「俺はめんどうだからいいかな」

そう言った朔に対してあからさまにしゅんとなる優斗。

「あぁ……わかったわかった着て行くよ」


そう言うと飛び跳ねる様に喜ぶ優斗。
まるで幼い子の様だ。