緑色のリュックサックが視界の端を掠めた。

咄嗟に手を伸ばし、脊髄反射で引き倒す。

「うお!?」

ぐらりと体を傾がせた、彼の声は変わっていなくて、紅羽はぎゅっと手に力を込めた。

「……あー……はは、あれ……怒ってる?」

引きつった笑いを浮かべてみせる、阿鳥光輝その人が、目を泳がせていた。